デザインのそれ。

グラフィックデザイナーの雑駁ブログ

ブランディングの難しいところ。スタバのマウントレーニア訴訟

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森永乳業のカップ式コーヒー飲料の「Mt.RAINIER(マウントレーニア)」が、大手コーヒーチェーンのスターバックスから、ロゴが似ていると訴訟を起こされていた問題について、この程「ロゴに類似性はない」という判決が下だりました。

どちらのロゴも緑を基調とした円形の中にブランド名とシンボルを配置したデザインですが、2つを見間違える程ではないですね。かなり視力の悪くせっかちな人ならありえなくもないですが、まぁ可能性から言ってそれは低いでしょうね。

 

スターバックスの訴えにより11月22日(水)にシンガポールで裁判が行われたましたが、最終的に2つのロゴに類似性はないと判決を下し、「ロゴに同心円を使用するのは、スターバックスだけの特徴ではない」としています。

 スターバックスの言い分としては、ただ2つが似ているからというよりはマウントレーニアのロゴに書いてある文字に問題があると言っている。

マウントレーニアの山脈の絵の下に「The Mountain of Seattle」というサブテキストについて、スターバックスはこれが「マウントレーニアのコーヒーがシアトル産のものであると一般市民を欺くことを目的としている」と主張している。

確かに森永乳業マウントレーニアのコーヒー豆はシアトル産ではない。公式サイトには世界約60ヶ国のコーヒー産地から厳選した豆を使用しているとし、主な産地はコーヒーベルト(コーヒー豆の栽培に適した気候地帯は赤道をはさんだ北緯25度と南緯25度の間)です。シアトルがあるワシントン州は北緯47度あたりなので完全にコーヒーベルトの外。

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裁判では、ロゴに書かれた「The Mountain of Seattle」というテキストは単なるロゴに描かれた山の名前を示すだけのものである、とし、さらに、「レーニア湖がシアトルの象徴であるとしても、一般的なシンガポール人がロゴを見てシアトルやレーニア山と結び付けることができるとは思えない」ということらしいです。

スターバックスとしては少々納得がいかない気もしますね。シアトルの人からするとマウントレーニアは馴染みがあり、ぜんぜん関係のない森永乳業マウントレーニアをモチーフとしているわけからね。

しかし、森永乳業マウントレーニアの捉え方もブランドのストーリーを読む限り、シアトルのカフェラテに対するリスペクトを感じます。

90年代当時のシアトルでは、コーヒーを街中や図書館に併設されたショップで買って持ち歩きながら飲む、というスタイルが主流。一方その頃の日本でコーヒーといえば、自宅や喫茶店などで座って飲むものでした。
そんな中、 日本において拡大を増すコンビニエンスストアに缶コーヒーではなく、カップ式のコーヒーとして登場したマウントレーニアは、シアトルの持ち歩きながら飲むというスタイルを日本にもという想いから始まっている。使ってる豆は違うけどコーヒーを飲む(楽しむ)というスタイルをマウントレーニアは体現しているんですね。

この辺りブランディングを確立して行く上で非常に難しいところですね。