文字組みの基本となる知っておかなければならない文字の基準線(リファレンス・ライン)について
欧文を整然と並べるために5本の基準線(リファレンス・ライン)が設計されています。ほぼ全ての書体はこの基準線に従ってデザインされていますが、必ずしも基準線にぴったりに配置されているわけではありません。
文字を並べてみたときに、人の目のOptical Illusion (錯視)を考慮して様々な工夫がなされています。今回はおさらいとして、文字の基準線を1つずつ見ていきましょう。
5本の基準線(リファレンス・ライン)
1. Base Line(ベース・ライン)
アルファベットを並べる際に最も基準となる線となり、基本的に文字の下端はこのベース・ラインに揃えられています。いわゆるアルファベットの地面のようなものです。
ただし、例外もあります。大文字の「A」「V」の尖った部分や「O」は少しベース・ラインからはみ出る形でデザインされています。
なぜならベースライン内に収めると同じポイントの文字でも少し錯視の関係で少し小さく見えたりバランスが悪くなるので、それらを調整するようにデザインされています。
ちなみに、このはみ出す部分をOvershoot(オーバーシュート)と言います。
2. Cap Line(キャップ・ライン)
大文字の上端に揃う線のこと。これもベースライン同様、すべてがこのラインに揃うわけではなく、「A」「V」「O」は少しはみ出る形でデザインされている場合があります。
また、キャップラインは後述するAccender Line(アセンダー・ライン)と重なる(同じ)書体も存在します。
そして、1のベースラインと2キャップラインの幅のことをCap height(キャップ・ハイト)といい、これが大文字の高さになります。
キャップハイトは大文字の「H」が一番正確に見ることができます。
3. Accenter Line(アセンダー・ライン)、
4.Descender Line(ディセンダー・ライン)
文字の一番上端・下端に設けられたラインのこと。小文字の「f」の上に伸びたターミナル部分や「h」のステムの先端がアセンダーラインに揃い、反対に「y」のテールや「p」のステムの先端はディセンダーラインに揃う形となります。
このアセンダー・ラインとディセンダー・ラインの幅をBody Height(ボディ・ハイト)といい、この幅が文字の大きさを表します。金属活字時代の文字型の大きさのなごりでこう呼ばれています。
5.Mean Line(ミーン・ライン)
多くの小文字の上端に揃う線のこと。ベース・ラインとキャップ・ラインの間にあり、中央よりやや上側に引かれています。
ミーン・ラインはx-Height(エックス・ハイト)と呼ばれる小文字の「x」の高さに位置し、書体によってボディにおけるエックス・ハイトの位置は異なりますが、ほとんどの小文字がエックスハイトに収まるように設計されています。
ミーン・ラインとアセンダー・ラインの幅をAccender(アセンダー)と呼び、小文字のエックスハイトより上に飛び出すステムはこの範囲に収まります。
また、ベース・ラインとディセンダー・ラインの幅のことをDescender(ディセンダー)と言い、小文字のエックスハイトより下に出る「g」のループ部分や「j」のテール部分はこの範囲に収まります。
書体を見る場合はこの5つの基準線も元にその書体の黒みを見ます。特にベース・ラインとミーン・ラインの幅のエックスハイトの違いを見分けるように意識すると、紙面における文字の扱い(大きさ、文字間、行間など)がわかるようになるので、覚えておきたいですね。
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