空飛ぶ車、アストン・マーティンが「Volante Vision Concept(ヴォランテ・ビジョン・コンセプト)」なる電気飛行機の開発プロジェクトを発表!
ドローンじゃないですよ、これ。
イギリスの自動車メーカーのアストン・マーティンは、「Volante Vision Concept(ヴォランテ・ビジョン・コンセプト)」と名付けられた垂直離着陸(VTOL)が可能な航空機の開発プロジェクトを世界に発表しました。『ヴォランテ』とはイタリア語で“飛んでいる”または“飛ぶことができる”といった意味を持つ言葉。
同社は、航空機のエンジン開発で世界をリードするロールス・ロイスPLCや、航空工学のスペシャリストが揃う英Cranfield Aerospace Solutions Limited(クランフィールド・エアロスペース・ソリューションズ)、英クランフィールド大学と連携し、アストン・マーティン独自のデザインを融合させ高級コンセプト航空機の開発を進めています。
こちら海外のメディア「designboom」に動画がありました。
aston martin aircraft concept takes luxury personal transportation to the sky from designboom on Vimeo.
ヴォランテは化石燃料の飛行機ではなく、ハイブリッド電気飛行機として開発されており、最大3名までが乗車することができます。まさに未来を描くSF映画に登場しそうなクールさですね。
電気飛行機は、バッテリーの問題があるものの、騒音や空気汚染など環境汚染やコストの面で化石燃料より優れているので、将来的には電気飛行機が主流になると期待されています。
電気飛行機(ELECTRIC AIRCRAFT)は、NASAやエアバスを始めベンチャー企業なども参入しているこれから伸びてきそうなテーマです。以前このブログでも取り上げました。
Aston Martin:アストン・マーティン
https://global.astonmartin.com/ja
アストン・マーティンは、1913年に設立されたイギリスの伝統ある自動車メーカー。もともとはスポーツカーを生産を中心としていましたが、1930年代以降から乗用車の生産にシフト。DB11やRapide S、Vanquish Sなどのブランドが有名です。いまでは世界53カ国で販売するイギリスを代表するカーメーカーです。もともとのスポーツスタイルのデザインと格調高いイギリススタイルがなんともかっこいいですね。
ちなみに同社のロゴは、スカラベという甲虫類の昆虫の羽をモチーフとしたエンブレムで1920年代後半にはこの原型のデザインが使われています。昔から“飛ぶ”ということへの憧れはあったんでしょうかね。
ロールス・ロイス・ホールディングス
ロールス・ロイスは1906年にイギリス・マンチェスターに設立された乗用車や航空機用エンジンの製造メーカーです。ロールス・ロイスといえば高級車の代名詞的な存在ですが、現在航空機用エンジンを作っているロールス・ロイス・ホールディングスとロールス・ロイス・モータースは別会社になっています。このあたり少しややこしいんですが、ロールス・ロイス・ホールディングスが航空機用エンジンを製造しているメーカーで、ロールス・ロイス・モータースは途中BMWに買われBMW母体として自動車を製造しています。
ロールス・ロイス・ホールディングス自体も航空機用エンジンの供給をする傍ら、The Rolls-Royce EVTOL projectとして独自のエレクトリック・エアクラフトの開発も行っています。
英Cranfield Aerospace Solutions Limited(クランフィールド・エアロスペース・ソリューションズ)、英クランフィールド大学
https://www.cranfieldaerospace.com/volante/
そして、アストンマーティンやロールス・ロイスを支える航空宇宙工学を専門するクランフィールドエアロスペース(CAeS)と、その研究機関でもあるクランフィールド大学が、機体の設計や、フライトシュミレーションなどのデザインを担当しています。
クランフィールド大学は航空宇宙研究コンソーシアム(NARC)の主要メンバー校でもあり、世界屈指の航空宇宙研究能力を誇る有名校です。航空宇宙研究コンソーシアム(NARC)は、航空会社や空港など航空業界全体を取り入れ、今後の飛行機のあり方や未来のスマートコネクト、エレクトリック・エアクラフトなどの研究や、イギリスにおける業界の発展と国内の様々な機関や多国間とのコミュニケーションを担っています。CAeSはクランフィールド大学の100%子会社という関係。
オールイギリスのまさにドリームチームで開発が進められているヴォランテ。エレクトリック・エアクラフトの未来を技術・デザインにおいて一歩リードしているかもしれませんね。
また、アストンマーティンは現在、北京モーターショーで発表された自動運転機能を備えたブランド初の市販EVを開発中で、EV自動運転の肝となる電動パワートレーン(駆動システム)などのノウハウをこのボランテに投入し、個人向けの空のモビリティのエキサイティングなソリューションの提供を約束するとしています。
個人のプライベートジェットとなると世界でもほんの一部のセレブだけが乗るイメージですが、電気飛行機が普及すればもっと敷居低くなり、庶民でも保有できる未来が来るかもしれませんね。そしてそうなるにはもうひとつ、自動運転というキャズムを超えることが必須といわれています。
今後どこまで技術革新が進むか、非常に楽しみな分野です。