ローマン体の起源とされるインペリアル・キャピタルをもとにした書体:TRAJAN(トレイジャン)
日頃何気なく目にしている書体。その歴史は古く古代ローマ帝国時代から、現代に至るまで様々な変遷を繰り返し今日まで続いています。
ローマン体の起源は、2世紀の古代ローマ帝国の五賢帝(ごけんてい)の一人、マルクス・ウルピウス・トラヤヌス皇帝がダキア戦争に勝利したことを記念して紀元113年に建てたトラヤヌスの円柱といわれる戦勝記念柱に刻まれた碑文がもととなっています。ちなみに場所は現在のイタリア・ローマの中心地フォロ・ロマーノ地区にあります。
その記念碑に刻まれた碑文がインペリアル・キャピタル(Imperial capital:帝国の大文字)といい、今日広く使われているローマン体の起源となっています。
1989年にこのトラヤヌス碑文をもとににアメリカ人女性デザイナー、Carol Twombly (キャロル・トゥオンブリー)氏がデザインした書体がかの有名な「Traijan(トレイジャン)」です。
“すべてのローマン・アルファベットの永遠の源”ともいわれ、伝統的な格式の高いイメージと、上品で優雅なフォルムをもっており、非常に印象的な書体です。
すらっとした「R」のレッグや、「Q」「J」のテールなど碑文の特徴がよく現れていま
すね。また小文字が存在せず、小文字がない書体(スモールキャピタル)となっています。
映画のタイトルでよく使われており、有名なところでは「タイタニック」や「グラディエーター」「ビューティフル・マインド」「硫黄島からの手紙」などジャンルを問わずどこでも使われています。
映画の他にテキサス大学やコロンビア大学の学名の他、企業ロゴにもよく使われています。チョコレートおゴディバや映画配給会社SUMMIT ENTERTAINMENT、日本ではSMBC(三井住友銀行)などがTrajanをもとにロゴをデザインしています。
Trajanはアドビ環境であればアドビソフトやアドビフォントでインストールして使うことができるので、入れておいてもいいのではないでしょうか。