フランスのスタートアップ「PIXII(ピクシー)」からデジタルレンジファインダーカメラ、その名も「PIXII」がリリースされました。
シルバーと黒を基調としたコンパクト&シンプルな見た目で、普段使いのスナップに使い勝手が良さそうです。
PIXIIの特徴は何と言ってもデジタルレンジファインダーカメラということ。今時珍しいですね。そしてカメラにはLCDスクリーン(背面の液晶モニター)が付いておらず、メモリーカードスロットすらありません。
撮影した画像の確認は連携させたスマートフォンに転送しスマホ上で確認することになります。連続で撮影しながら確認する場合を考えるといちいちスマホを見なければいけないので少々不便に感じるかもしれませんね。
ちょっととっつきにくい仕様のカメラですが、そこにはスタートアップならではの哲学があり、「液晶モニターなしで写真を撮影するスリルを、今のスマートフォン世代に味わってほしい」と同社は説明しています。
PIXIIの主なスペック
- 電子シャッター
- サンプリングレート12bit
- ハイダイナミックレンジ60〜90dB
- ISO感度100〜6400
- Leica Mのレンズシステム
- Bluetooth LE 4.2
CMOSセンサーについては明らかにされていません。レンズはLeica、Zeiss、Voigtlanderの一眼では味わえない優秀なレンズの利用が可能です。
そもそもレンジファインダーカメラとは?
レンジファインダーカメラとは日本語で「距離計連動カメラ」と言い、レンズとは別に距離計(レンジファインダー)が組み込まれたカメラの総称です。
カメラに取り付けられた距離計を調節することでピントをあわせて写真を取ります。代表的な機種としてドイツのライカ M10 がもっとも有名ですね。
特徴としては、一般に一眼レフカメラよりミラーやペンタプリズムがないのでコンパクトな作りとなり、レンジファインダーならではの即興性により雰囲気のある写真が取れます。20世紀を代表する写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンやロバートキャパなどが愛用していたことで知られています。
アンリ・カルティエ=ブレッソン:20世紀最大の写真家 (「知の再発見」双書)
- 作者: クレマン・シェルー,伊藤俊治,遠藤ゆかり
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2009/04/14
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一眼レフとレンジファインダー機の違い
では具体的に一般的な一眼レフカメラとどうちがうのかを簡単に見ていきましょう。
ファインダーの違い:
まず、大きな違いとしてファインダーの違いがあります。一眼レフのファインダーには、カメラのレンズを通して見える像をミラーとペンタプリズムという機構を使ってカメラのファインダーに送っています。
一方、レンジファインダーカメラのファインダーには、レンズとは関係なくファインダーに写し出される像は、ファインダーのガラス窓越しに見ただけのほぼ肉眼で見るのと同じ像となります。
若い方は知らない人も多いと思いますが昔あった「写ルンです」をイメージしてもらえれば分かりやすいかもです。
一眼レフカメラはレンズを変えると当然ファインダーに写し出される像は違ってきますが、レンジファインダー機はレンズを変えても変わりません。
それではどんな写真になるかわかりづらいので、レンジファインダーカメラのファインダーには、今のレンズで撮影できる範囲を示すライン(下写真)が表示され、写真に収まる範囲とそれ以外の範囲がわかるようななります。
これは一眼レフの映る範囲しか見えないのに比べ、もう少し客観的に状況を把握することができるようになるというメリットがあります。
上記の違いは、ファインダーで見える範囲のみを見ながら撮影に没頭することができる一眼レフカメラと、ファインダー内外を客観的に捉えることができるレンジファインダーカメラということになります。
どちらも一長一短でどっちが良いという話ではなく、どっちのスタイルを選ぶかということですね。
ピントの合わせ方:
一眼レフカメラの場合、最近はほとんどの機種がオートフォーカスとなっているのに対し、レンジファインダーカメラは、オートフォーカスではなく手動でピントを合わせます。
レンジファインダーという言葉は、日本語に訳すと測距計という意味の言葉で、要はレンジファインダーカメラというのは、距離を測る装置がついたカメラという意味になります。レンジファインダーカメラは、ファインダー内に写る像を異なる2点の距離を一致させることでピントが合うようになっています。
一眼レフのオートフォーカスに慣れていると、手動でピントを合わすことに抵抗があるとおもいますが、これはどういった写真を撮るのかといった写真撮影のスタイルによって変わってきますね。
ボディがコンパクト:
一眼レフカメラのボディは、レンジファインダーカメラに比べて大きくなりがちです。それは、一眼レフのボディは、シャッターの前にミラーとペンタプリズムが組み込まれるため、どうしても厚みが出てしまいます。またプリズム部分が上に飛び出してしまいます。
それに比べ、レンジファインダーカメラのボディは、ミラーやペンタプリズムがないため厚みも薄くコンパクトにまとめることができます。
という具合に、一眼レフカメラと比べるとレンジファインダーカメラは小さいけど使いにくいカメラであることは間違いありませんが、写真を撮る楽しさや光学をより理解するためには一度触ってみてもいいかもしれませんね。
PIXIIのレンズにはMマウント互換レンズの他、アダプター利用でM39マウントやLTMレンズといったライカスクリューマウントレンズを使用できるのも良いですね。
現在、テスト段階で今後数週間のうちに価格と発売時期を確定するそうです。
どれぐらいの価格帯なのか楽しみですな。